JESGOについて
概要
婦人科悪性腫瘍総合入力システム(Japan Entry System of Gynecologic Oncology, JESGO)は、婦人科悪性腫瘍症例を施設内で統合的に管理、保管するための施設内サマリシステム(ソフト)で、日本産科婦人科学会(JSOG)、日本婦人科腫瘍学会(JSGO)、日本産科婦人科内視鏡学会(JSGOE)の3学会が共同で開発・運営し学会員に提供しています。
JESGOの理念
JESGOは、「婦人科悪性腫瘍の診断治療予後に関する医療情報を分析することにより医療の質の向上を図り、国民に対する良質な医療の提供、適正な医療レベルの維持、また、医療経済の最適化を目指す」という理念に基づき作成・提供・運営を行っています。上記の理念達成のため、全国レベルでの悉皆性のある正確なデータの蓄積、収集と、データ登録に伴う実務者の負担の軽減の双方を達成することを目標としています。
JESGOを3学会が合同で作成・運営を行う経緯
現在、JSOGの専門研修施設(基幹施設)ではJSOG腫瘍委員会の婦人科腫瘍登録を行うことが義務づけられており、またJSGOEでは技術認定医や認定研修施設の申請において症例登録システム(手術合併症登録)が義務となっています。これに加え、厚生労働省より保険要件として症例登録・データ解析の提出などの調査(MIS-RH、ロボット支援手術等)や、自施設ないし多施設共同での学術調査研究等もしばしば実施されます。各施設では上記のたびに1例ごとにカルテを調べ入力を行う、あるいは、施設内台帳(症例サマリ)をもとに別々の台帳を作成するなどの工夫を行うことで対応していますが、入力や台帳作成にあたっては都度カルテを参照しなおす必要があるなど、各施設で入力を担う若手の負担となっています。
JESGOは、日常の診療業務フローに合わせ、各種登録事業を網羅した形で婦人科悪性腫瘍症例のサマリ情報を入力できる施設台帳を全国一律で一つの形にまとめることで、JSOGやJSGOE等の各種登録事業への流し込みを容易にし、若手の業務負担を軽減することを目的としました。すなわち、少なくとも、JSOG腫瘍委員会腫瘍登録項目、JSGOE症例登録項目を網羅し、そのうえで各癌腫の臨床病理学的因子を含む項目を含め、将来の多施設共同の後方視的調査研究、厚労省から要求される保険要件についての項目にも柔軟に対応できる婦人科悪性腫瘍患者の個別総合入力システムを3学会で共同で開発し、学会員に提供することが計画されました。
JESGOを活用するメリット
JESGOを利活用することで以下の利点があります。
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- JSOG 婦人科腫瘍登録、JSGOE 症例登録が必要な症例について、JESGOを利用することで必要情報の入力を一括して容易に行えるようになります。
- JESGO使用施設においてMIS-RH導入、ロボット手術導入などに伴い、厚労省から保険要件としての症例登録・データ解析の提出などの要請があった際に、改めてカルテ調べをする必要が減少し早急に対応が可能となります。
- JSOG、JSGOEへの提出項目以外のJSGOが各学会と協議の上定めた詳細項目までの入力を行っている施設では、多施設共同の後方視的調査研究、などの研究立案、参加の機会を得ることができます。
- 各施設で調査を行いたい調査項目がある場合には、施設毎に独自にカスタマイズを行うこともできます。
JESGOは、JSGOが開発費用を負担し、その後の運営費はJSOG, JSGO, JSGOEが負担する予定であり、各施設の利用に際し、費用負担は発生しません。
注:個別施設でカスタマイズを希望される場合にはその内容に応じては追加費用が発生することもありえます。
JESGOの将来像
将来的には各施設における電子カルテとの連携機能により、一度の診療記録入力でJESGO、電子カルテ双方に情報が連携され、症例サマリ等が自動的に作成されるようなシステム開発を目標としています。また、JESGOに入力した項目を用いることで、臨床研究や保険診療のための情報収集が容易に行えるようになることが予想されます。これにより日本全体の婦人科悪性腫瘍のリアルワールドデータを収集することで、本邦の医療レベルの向上を目指します。